地元の良さを知り、未来を考える

岩手町教育委員会は、児童・生徒の「地域への愛着・誇りの醸成」を目指し、「いわてまち学」を推進しています。

この取り組みが高く評価され、昨年度、川口中学校が文部科学大臣表彰を受けました。

今回は、担当の木村義輝教諭から、キャリア形成における地域学習の重要性についてお話を伺いました。

木村義輝教諭

——「いわてまち学」は、なぜ順調に進んでいる?

学校の中だけの取り組みでは本当の学びにはならないのではないかと考え、地域との協働を通して生徒たちの力をつけることを目標としました。

この目標を掲げることができた背景には、地域の協力を得るための町のサポート体制が整っているから。

例えば、3年生が作る「ふるさとCM」 生徒からの「こういうことをしたい」というリクエストに対して、町の担当者に、石神の丘美術館、キャベツ生産者、地域おこし協力隊員といった協力者の紹介や、取材等の調整、撮影方法のアドバイスなど、たくさんフォローしてもらっています。

授業風景

——今年で3年目となる「ふるさとCM」の取り組みを詳しく教えてください。

3年生の「総合的な学習の時間」で取り組んでいます。

生徒と「入賞が目的ではない」ことを共有したうえで、SDGs17の目標の「4 質の高い教育をみんなに」や「11 住み続けられる町づくりを」の視点から、「岩手町の関係人口を増やす」といった具体のミッションを設定させています。

生徒たちの「いいものを作ろう」という意識が年々高まっていることをうれしく思いますし、取り組みを進めるなかで「うまくいかない」ことを調整したり、折り合いをつけたりしている場面をみると、頼もしく感じています。

また、3年前に川口中学校で始めた取り組みが、2年目には一方井中学校、3年目の今年は沼宮内中学校にも広がったことで、違う学校の同学年の生徒と一緒に学習できる機会ができたことが一番良かったと思っています。

さらに、全国学力調査の「地域をより良くしたいですか」といった設問について、取り組みの前後で回答の違いをみてみると、取り組み後の方が前向きな回答の割合が確実に上がっており、目に見える成果につながっている手応えを感じています。

川口中学校、一方井中学校、沼宮内中学校の生徒たち

——今後の「いわてまち学」はどのような展開を?

地域社会に参画する意識を高めていくためには、小学校も含めた義務教育9年間で、生徒が自ら「より良いものにしていきたい」という想いを持つきっかけづくりを、今まで以上に増やしていくことが必要だと考えています。

例えば、現在の仕組みでは、以下のように少しずつ視野を広げていくことができます。

  • 川口小学校6年生が川口秋祭りの山車作りに参加し、祭りを通して川口について学ぶ。
  • 川口中学校1年生が、町内で酪農を営む「ハッピーヒルファーム」で「第1次産業体験」を行う。
  • 川口中学校2年生が「職場体験学習」で地元の企業について学ぶ。
  • 川口中学校3年生が「ふるさとCM」で岩手町を学ぶ。

この活動を単発で終わらせずに体系的なものとしてつながりを持たせることはできないか、具体的には、職場体験学習で訪問する企業の課題解決のお手伝いにつなげることはできないか、と考えています。

さらに、「こういうことやるけど、中学生のアイデアが欲しいから一緒に取り組まないか?」といった企業側からのアプローチや、生徒それぞれが自らの得意分野を活かした提案の機会が増え、「岩手町での就職」などの選択肢につながっていくことも期待しています。

教室を飛び出し、学び舎のある川口を学び、その良さを実感する「いわてまち学」

生徒の取り組みを通じて、町民にも広く岩手町の良さを実感するきっかけになれば幸いです。

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