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岩手町と友好関係を結ぶ、アイルランドのSDGsの取り組み~前半~

岩手町がアイルランドのオリンピックホッケー女子選手のホストタウンとして選ばれたニュースは、みなさんもご覧になったのではないでしょうか。

実はこのアイルランド、岩手町も取り組むSDGs(Sustainable Development Goals)に先進的に取り組んでいるのをご存知でしょうか?

今回の記事では、岩手町が友好関係を結ぶアイルランドのこと、アイルランドのSDGsの取り組みをご紹介していきます

アイルランドってどんな国?

アイルランドといえば、みなさんご存知のギネスビールやウイスキーの発祥の地としても知られています。スポーツでは、ホッケーのほかラグビーもさかんです。

イギリスの西側に位置するアイルランドは、北海道と同じくらいの面積で、人口492万人の人たちが暮らす国。もともとはイギリス領だった歴史もあり、2016年は独立してちょうど100年にあたる年でした。

アイルランドでは第二言語である「英語」が話されていますが、第一言語は「アイルランド語」。これはイギリスの影響ですが、現在では母国語を復興させるための教育にも力を入れているそうです。

アイルランドは”1日に四季がある”と言われるほど、天気が移ろいやすく、雨が多い国ですが、年間を通して暑すぎず寒すぎず、穏やかな気候が特徴的。そんな風土や気候を生かした酪農や農業が主な産業となり、製薬、金融、情報通信などの産業も発展しています。

首都は国内東部にあるダブリン。バイキングが築いたユネスコ文学都市であり、世界で最も人なつこい地元っ子たちが伝統的なパブに集う街だと、観光協会は紹介しています。

ゴール15 : 生物多様性にまつわるエピソード

アイルランドの歴史といえば、1845年に起こった”ジャガイモ飢饉” をご存知の方もいるかもしれません。

当時アイルランドの人たちが主食としていたジャガイモが疫病にかかり、およそ150万人もの人が食にありつけず、飢餓によって亡くなってしまいました。

ある専門家によると、ジャガイモ発祥の地アンデスでは、冷病害などによる壊滅的な被害に備え、多品種のジャガイモを植えて対策を打っていました。しかしアイルランドは、単一品種栽培にしてしまったことによって飢餓を起こしてしまったのではと専門家は記しています(出典:明治大学農学部)。

 

これはまさしく、SDGsのゴール15にある「生物多様性がなぜ大切か」を示してくれているエピソードとも言えます。

生物多様性とは、生きものたちの豊かな個性とつながりのこと。この多様な生態系のつながりによって森や海が育まれ、酸素や食料がつくり出されるなどして、私たち人間も生かされています(出典:環境省)。

国際会議で定められた生物多様性条約では、生態系の多様性・種の多様性・遺伝子の多様性という3つのレベルで多様性があること、としています。

社会においても、人権を保障するため、社会のレジリエンス(バネのような強靭さ)を高めるためにも、さまざまな人の多様性を認めていくことが言われていますが、

先程の飢饉の教訓から私たちが学べることとして、畑の中においても、これら3つの多様性を持たせ、リスク回避とレジリエンス(バネのような戻る力)を高めることが重要だと言えるのではないでしょうか。

 

該当ゴール:
目標2 飢餓をゼロに
目標3 すべての人に健康と福祉を
目標10 人と国の不平等をなくそう
目標11 住み続けられるまちづくりを
目標14 海の豊かさを守ろう
目標15 陸の豊かさも守ろう

SDGsのデータをまとめたコミュニケーションサイト

出典/SDGs HUB

出典/SDGs HUB

そんな大切な教訓を与えてくれたアイルランド。SDGsや環境政策などの取り組みについても学べることがたくさんあります。

アイルランドの国の目標や取り組み、進捗、達成度は、中央統計局などと連携してつくられたSDGs HUBと呼ばれるウェブサイトにまとめられています。

各ゴールの指標(インジケーター)ごとに、アイルランドの数値データも掲載されており、シェアしやすいようなデザインになっています。

 

 

出典/SDGs HUB

 

それぞれのゴールごとのページでは、アイルランドの地域ごとのデータを見ることができ、国民にもわかりやすく、政策の必要性や優先順位もつけやすくなるよううまく整理され、まとめられています。

特にこちらのゴール1「貧困をなくそう」&ゴール8「働きがいも経済成長も」の特別ページでは、雇用されていれる人・されていない人の割合が一目でわかるようになっています。

出典/SDGs HUB

オンラインツールを活用した教育の取り組み

出典/SDGs HUB

ゴールごとには、どんな施策がなされているのでしょう?まずは、EUの中でも高水準と言われるゴール4 教育分野について見ていきましょう。

アイルランドは、日本の小学校にあたる初等教育が8年間あり、その後日本の中学・高校にあたる中等教育が6年間あります(出典:外務省)。4歳からだいたい15歳までの初等教育と中等教育の前期が義務教育となっており、親が小学校に行くのに早いと判断した場合は、一年遅らせることも可能だそう。

高校1年生になると、一般教養からは離れ、音楽、演劇、スポーツ、図工、家庭科、外国語など、関心のあることを深く学んだり、慈善団体でボランティアを体験したり、レストランや会社で働いて実際の社会について学んだりして、特別な一年を過ごします。

これは、トランジション・イヤー(Transition Year)と呼ばれ、一人ひとりの興味を育てるための期間として設けられており、これがない学校を選ぶと一年早く大学に進学することになります。

6月から8月の3か月ある夏休みには、多くの生徒がケリー、ゴールウェイ、ドネゴールなど、アイルランド語がよく話されている地域に3週間程度ホームステイし、アイリッシュ・スクールに参加し、アイルランド文化を学ぶ期間として活用されています。

SDGsに関する取り組みでは、アイルランドのほとんどの小学校・中学校にオンラインツールを導入し、ICT教育に力を入れているようです。

クラウドベースでマッピングや分析ができるArcGISというオンラインソフトを使って、先生たちは自由に授業をデザインできるようになっています。

もしかしたら今後、これを使ってSDGsと地理や歴史を紐づけるような授業なども行われるのかもしれませんね。

 

〜後半につづく〜

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