SDGsライター

子どもたちの心に「読書の種」をまく ~ 読み聞かせ50年、田村えい子さんの願い

町内の小学校で「読み聞かせボランティア」として活動されている田村えい子さんの読み聞かせ会にお邪魔しました。

田村えい子さん

この日は川口小学校の5年生への読み聞かせです。教室に入ると、児童の皆さんはすでに自席に座って待っていました。田村さんは教壇に立ち、まず今日読む本を紹介します。

一冊目は、物語『風切る翼』(文:木村裕一、絵:黒田征太郎/講談社)。二冊目は、科学絵本『たくさんのふしぎ スズメのくらし』(文・写真:平野伸明/福音館書店)。

『風切る翼』は、飛べなくなったアネハヅル「クルル」を巡る物語です。厳しい自然の中、冬を前にインドへと渡り始める仲間たち。そんなクルルのもとへ、たった一羽戻ってきたカララ。二羽が迎えるクライマックスへと話が進む間、5年生の皆さんは一言も発さず、田村さんの声と手元の本にじっと集中していました。

「風切る翼」を読む田村さん

続く『たくさんのふしぎ スズメのくらし』は、スズメの生態を詳しく紹介している本です。「スズメは何を食べるのか?」「どこに巣を作るのか?」 身近な存在の意外な素顔が明かされると、あちこちから「へえー!」という驚きの声がこぼれました。

5年生の皆さんが、興味深そうに熱心に聞いています

最後に5年生の皆さんに感想を聞くと、突然のお願いだったにもかかわらず、たくさんの手が挙がりました。クルルやカララに寄り添った感想、群れのあり方への考え、初めて知ったスズメの生態への興味など。その言葉からは、いかに皆さんが熱心に耳を傾けていたかが伝わってきました。

【田村さんのお話】
「教職を定年退職してから、15年以上個人で『読み聞かせボランティア』をしています。現在は、毎週曜日ごとに沼宮内小、川口小、一方井小を回っています。例えば、水曜日のお昼は川口小で、今週が5年生、来週が6年生・・・・というように、学校の行事と調整して年間予定を立て、町内すべての小学校、すべての学年に読み聞かせを届けています。

最初は、知り合いの校長先生に声を掛けられて始めたんです。そこから段々に伝わっていって、北山形も久保も、浮島も水堀も行ったの。町内にあった小学校全部行きました。
担任を持っていた頃は、毎日なんとか時間を見つけて、高学年なら長編を少しずつでも継続して読んでいました。子どもたちが結構楽しみにしてくれて、お友達と帰りながら『明日どうなるか』なんて話していたと聞くと、もう最高に嬉しいですね。

今の活動は訪問回数が限られるため、高学年でも一回で完結するように工夫しています。いただいた15分を有効に使うため、読んだ本と所用時間はすべてノートに記録しているんです。『これは6分だからもう一冊いけるな』と計算したり、短い話でも高学年でも物足りなく感じないよう、今回のように科学の本やノンフィクションを組み合わせたりしています。

私の読み聞かせが、いつか子どもたちの読書習慣につながれば。何年か経ってからでも、『あの時こんな本を読んでもらったな、今度は自分で読んでみようかな』と思い出すような、ささやかなきっかけになればと願っています」

聞き手の反応を見て、会話するように読む場面も

田村さんは、教職に就いていた頃からもう50年以上も読み聞かせを続けてこられました。「特別な訓練をしたことはない」と笑いますが、滑舌よく通る声は心地よく、聞き手をすんなりと本の世界に惹き込みます。教壇に立つ田村さんを真剣な目で見つめる児童たちの姿。それは、この体験が一冊の本を手に取るきっかけになることを、確かに予感させてくれる光景でした。

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