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岩手町と友好関係を結ぶ、アイルランドのSDGsの取り組み〜後編〜

前編はこちら

前回の記事では、岩手町が友好関係を結ぶアイルランドのこと、SDGsの取り組みのなかでも教育についてご紹介してきました。今回の記事でも、SDGsにおける先進的な取り組みについてご紹介していきます!

農業で国際協力!インフラや市場構築支援も

出典/Ireland SDGs HUB

 

ゴール2 飢餓をなくそうの分野では、発展途上国、特に後発開発途上国における農業生産能力を強化するための農村インフラ、農業研究と普及、技術開発、植物および家畜の遺伝子バンクに対し投資を行っています。

 

農林水産省と外務貿易省の共同イニシアチブである、アフリカ農業食品開発プログラム(AADP)では、アイルランドの農業食品セクターとアフリカ諸国とのパートナーシップを発展させ、アフリカの食品産業の持続可能な成長を支援するため、地元農産物の市場構築と、アイルランドとアフリカ間の相互貿易を支援することに力を入れています。2017年には、ODAの4%が開発途上国の農業に使われました。

 

さすが酪農や農業がさかんな国。アイルランドは、その特技を生かして、他国の農作物の生産力を高めることをサポートし、世界の飢餓問題に貢献しています。

 

 

該当ゴール:
目標2 飢餓をなくそう
目標8 働きがいも経済成長も
目標9 産業革新の基盤をつくろう
目標17 パートナーシップで目標を達成しよう

 

廃棄物をなくすためのアクションプラン

出典/Project Ireland 2040

 

ゴール12「つくる責任 つかう責任」の分野ではどうでしょうか?

 

アイルランド政府は、農村部の経済発展と雇用を支援しながら、再生可能資源のより効率的な利用を促進することを目指すとした『Project Ireland 2040』(2018年〜2040年)を発行しました。さらに国として、今後5年間に取り組むための「循環型経済のための廃棄物行動計画(Waste Action Plan for a Circular Economy)」を発表しています。

 

循環型社会とは、これまでの大量生産、大量消費、大量廃棄という、一直線にデザインされた経済の仕組みではなく、なるべく製品の寿命を長くし、廃棄をなくしていくようデザインされた経済や社会のことを指します。

将来世界人口は増加することが予測されていますが、このままの消費を続けては、自然資本が枯渇してしまうことが懸念されています。それに加え、気候変動によって作物が取れにくくなっていることから、資源をより大切に使っていく経済のあり方が、世界中の至るところで模索されています。

出典/Waste Action Plan for a Circular Economy

 

世界にはそういった課題もあるなかで、アイルランドは廃棄物をなくしていくためのいくつかの政策を打ち出しています。

政府は食品ロスを生み出しやすい「一つ買ったら一つ無料」を禁止、消費期限前の食品廃棄を違法として、2030年までには国内の食品ロス半減を目指すとしています。世界の食料援助量の1.5倍もの食品ロスを出す日本も、こういった取り組みはどんどん真似したいところですね(出典:農水省)。

 

日本でも話題のプラスチックゴミに関しては、2021年の6月から一部使い捨てアイテムの禁止に、2030年までにすべての梱包材を再利用もしくはリサイクル可能なものにするなども打ち出しています。

さらに注目は、環境負荷が高いことを記した論文も発表された安価なファストファッションに対して、課税措置を行うことも検討しているそう。

出典:Waste Action Plan for a Circular Economy

 

日本でも、回収した繊維でジーンズをつくるビジネスが出てきていた李、コンポストボックスで生ごみを資源とする取り組みが増えてきたりと、サーキュラーエコノミーは盛り上がってきています。

ある指標では、全世界の人たちが日本の生活水準になったら、地球資源が「2.8個分」も必要だと報告されていますが(出典:GFN)、SDGsの誰ひとり取り残されない世界実現に向けて、私たち日本人も、大量生産のものやビジネスモデルを見直すなど、そもそもの暮らしのあり方を見直していく必要がありそうです。

 

該当ゴール:
目標9 産業と技術革新の基盤をつくろう
目標12 つくる責任つかう責任
目標13 気候変動に具体的な対策を

 

 

ジェンダー平等実現のためのストーリーマップ

出典/Ireland SDGs HUB

 

先進国では、フィンランドやニュージーランドでは首相に、アメリカでは副大統領に女性が就任し、世界でも女性たちがリーダーシップをとる国も増えてきています。

かたや、日本のジェンダーギャップ世界ランキング2020の順位を見てみると…なんと153か国中121位!下から数えた方が早く、前回より順位を落としています。

 

出典:内閣府

 

その要因は、なんといっても女性議員数の少なさ(出典:内閣府)。国会議員に占める女性の割合は、衆議院10.1%/47人、参議院20.7%/50人(2016)と低い数値になっています(出典:内閣府)。

 

話をアイルランドに戻すと、アイルランドはこのランキングで世界7位をマークしています。とはいえまだまだ女性議員は少ないことから、ゴール5を主要プロジェクトとして位置づけ、特設サイトもつくられています。

2016年に導入された新しい法律『General Election(性別割当法)』では、政党の候補者は少なくとも30%が女性であること(男性も少なくとも30%いること)を保証しなければならないとしています。

出典/SDSN

 

SDGs世界進捗度ランキングのレポートでも、日本はしばらく「ジェンダー5」が課題に挙がっています。この法律は日本こそ導入されるべきなのかもしれません…!

 

該当ゴール
目標5 ジェンダー平等を実現しよう
目標8 働きがいも経済成長も
目標10 人と国の不平等をなくそう

 

みんなのプロジェクトを紹介!SDGsキャンペーン2019-2020

アイルランド政府は、さらなるアクションを促進するために、昨年から新しいキャンペーンを開始しました。

キャンペーンに参加した企業や団体は、SDGsコミットメントのゴールを決め、電気自動車への移行や、オフィスのグリーンエネルギーの採用などのチャレンジをウェブサイト上で紹介しています。なかでも注目の取り組みはECO-UNESCOの取り組み。毎年若者たちからプロジェクトを募集する『Young Environentalist Awards』というアワードを開催しています。

2019年には、4,000人を超える学生と322のプロジェクトが参加し、そのうち102のファイナリストがファイナルセレモニーに出品されました。

授賞式には、ニューヨークの持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN)ユースプログラムのグローバルコーディネーターも出席し、地域のプロジェクトと世界の課題をうまく結びつけた、優れたプロジェクトが表彰されました。

 

該当ゴール:
目標4 質の高い教育をみんなに
目標17 パートナーシップ で目標を達成しよう

 

「行動の10年」SDGsアクションへ

出典:国連

 

さて、これまでさまざまな取り組みをご紹介してきましたが、みなさんのアクションのヒントは見つかったでしょうか?

暮らしを変えることに加え、こんな政策があったらいいなと提案してみたり、地域の条例をみなさんでつくることも立派なSDGsアクションです。

国連は、2020から2030年までを「行動の10年」と位置づけました。

ぜひ岩手町でもできそうなことを見つけて、マルチセクターパートナーシップ (さまざまな属性の人たちとの協力)でチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

 

出典

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