石巻市、さいたま市、東京都豊島区が参加
佐々木町長「日仏自治体会議」帰朝報告
岩手町(佐々木光司町長)は2022年12月10日、岩手広域交流センター「プラザあい」で「岩手町自治体間連携フオーラム2022」を開催しました。テーマは、町が推進する「岩手町SDGs未来都市共創プロジェクト」の目玉である「SDGs姉妹都市連携」。
第1部では、日仏自治体交流会議(フランス・エクサンプロヴァンス市にて開催)に出席した佐々木町長が帰町報告。2部では、「SDGs未来都市」に選定された宮城県石巻市、埼玉県さいたま市、東京都豊島区の3自治体が、取り組みや岩手町との連携の可能性などを議論しました。
「第1部」フランス連携先と個別交渉へ
岩手町みらい創造課は冒頭で、「国の地方創生戦略」、2019~20年に岩手町と3自治体が内閣府から選定された「SDGs未来都市」や、「SDGsによる都市間連携」、農業、森林、健康の3分野で実証実験する「岩手町リビングラボ」などを説明しました。
続いて、22年10月に南仏で関かれた「第7回日仏自治体交流会議」に出席した佐々木町長は、「岩手町と交流したい」という市長もおられ、今後、個別交渉していきたいとしました。
リモート参加の在フランス大使館の畑中雄貴・一等書記官は、「農業のイノベーションや人口減少局面では日本に人・モノ・カネを呼び込む視点が重要」と指摘。
町の政策アドバイザーの町井則雄・株式会社シンカ代表は、フランスの連携先について「5つの自治体と交渉を開始し、非常に前向きな自治体を確認した」などと報告しました。
「第2部」環境から経済へ広く連携模索
宮城県石巻市は地域コミュニティの崩壊、高齢化と公共交通の利便が課題です。市は時速20キロメートル未満で4人乗り以上のカートタイプの車両「グリーンスローモビリティ」を制作し、高諭者の足としての利用を想定しています。
一方、市はSDGsの認知度アップへ、2022年度までの3年で職員全員の研修を終了し、ポスター、市報、漫画本、出前講座、動画配信などで啓発。認知度は20年度の26.5%から22年度には70%超と、劇的に上昇しました。
さいたま市は、地球温暖化対策が課題といい、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させる「カーボンニュートラル」など脱炭素に取り組んでいます。「環境・エネルギー、経済も含め岩手町と連携したい」と強調しました。
そうした中、市はSDGs、観光の幅広い連携を指進し、大宮で22年10月に岩手町と連携したイベント「さいたま市×岩手町SDGs Tour」を開催し、経済交流を開始。清水勇人さいたま市長と佐々木光司町長と対談し、連携を確認しました。
東京都豊島区は75歳以上の単身高齢者世帯の割合が日本一で、1年に東京で唯一の消滅可能性都市になりました。子どもを産む20~30代の女性の定着率が低いためで、いかに持続可能発展都市になるかが課題です。
一方、漫面の聖地「トキワ荘」がある豊島区は、「国際アートカルチャー都市構想」を掲げ、岩手町と同様、アートに力を入れています。町をブランディングし、区民に住み続けてもらう、持続可能な町を目指し、目的が同じ岩手町と連携していく考えです。
「連携のスタート地点に立てた」
佐々木光司町長 インタビュー
――フォーラムの意義を伺います。
SDGsがロコミで広がる仕掛けが重要で、フォーラムは継続します。今日は岩手県の職員や公務員から起業した人など町外の人もお見掛けしました。岩手町の外の人にも注目され始めています。そうした外部からの評価や視点は非常に重要で、町民の自信につながっていくと思います。
――本日の総括をお願いします。
岩手町は「SDGs未来都市計画」で、姉妹都市連携とリビングラボ(実証事業)という手法を掛け合わせて持続可能性の向上を図ることを打ち出しています。これまでどういう自治体と連携できるかを模索してきましたが、やっとスタート地点に立てました。
――今後の展望は、
本日の参加自治体のどこかと、2023年度は連携協定の協結を目指したい。環境、経済、人の交流を浸透させたい。岩手町にあって、相手の自治体にないものがあれば協議を進めやすい。フランスは、連携のできそうな自治体へ町職員や町民が視察を重ねながら、今できることと、将来やりたいことを整理し、具体的なアクションを起こしていきたいです。