2021年7月16日(金)~2021年7月18日(日)、明治大学農学部 共生社会論研究室(通称:岡ゼミ)の学生が岩手町に来訪し、視察を行いました。
岩手町SDGs未来都市共創プロジェクトでは、SDGsを基軸とした新たな価値を創出し産業振興を進める活動にも力を入れています。岩手町の地域商材をSDGs視点で磨き上げたり、新規開発を行うプロジェクトが今年度もスタートしています。
そのような中で「共感マーケティング」を研究する明治大学農学部の岡通太郎研究室のみなさんが、岩手町の農産物を「共感マーケティング」視点でもっと磨くことができないかを調査するため、岩手町に来町してくれました。
岡ゼミとは?
岡ゼミでは行動経済学を用いてSDGsの実現を目指して活動しており、これまでにオーガニックコットンの商品の販売実験を行なっています。環境や児童労働を改善できるオーガニックコットンの商品はとても素晴らしいのですが、少し割高なため、購入するには抵抗感があります。そこで、共感ホルモンである「オキシトシン」(通称:幸せホルモン)に着目し、消費者の情を揺さぶるような情報を用いて購買率との関係を調べています。また、例年フィールド調査を行っており、現地で得た情報を活用しています。
1日目
〇2021年7月16日(金)岡ゼミの皆さんが岩手町に来訪されました。
その後、岩手町みらい創造課長 地舘浩二・岩手町政策アドバイザーの町井則雄より岩手町のSDGsの経緯と取り組みのお話しをさせていただきました。
〇講演後は、桜山荘に伺いました。
桜山荘は、幕末から明治時代にかけて酒造業、産馬家として繁栄した岩手町の柴田家が、冠婚葬祭用に使用していた別荘です。
オーナーの柴田さんより桜山荘の歴史やご自身の経験のお話を伺い、岩手町が文化的にいかに豊かな地域かを学び、感じることができました。
〇昼食後、菊池牧場を視察しました。
菊池牧場は、自然に近い形で酪農業を行っていて非常にSDGs的な生産方法で酪農をされています。
今回は、少し離れたところから視察する形で岩手町みらい創造課 政策推進係 立花涼よりお話させていただきました。
〇ハッピーヒルファームを視察しました。
ハッピーヒルファームは牛乳の搾乳・出荷、牛の畜産をしている牧場です。
代表取締役の千葉さんからお話を伺った後、実際に牛舎内を歩かせていただきました。ハッピーヒルファームには広い牛舎が3棟あり、大人の牛から子牛まで見学することができました。学生たちが実際に牛と触れ合う様子も見られました!
2日目
〇2日目は、田んぼアートを視察しました。
今年度行われたオリンピックにおいて岩手町はアイルランド女子ホッケーチームをホストタウンとして迎えました。そのため、地元の一方井小学校の生徒がホッケーチームへの応援と友好をテーマにデザインを考案しています。
〇アンドファームを視察しました。
株式会社アンドファーム社長 三浦さんよりお話を伺いました。
「発酵させた牛糞・豚糞やそば殻を加えて、土づくりにこだわっている」というお話がありました。お話しの中では持続可能な農業につながる学びとなる取り組みが数多くあり、このようなこだわりの生産技術が岩手町の質の高い農作物の産出につながっていることがわかりました。
また、アンドファームは約90haと広大な敷地の中でわずか40人のスタッフで運営しています。その理由を聞くと、機械化により少ない人手でも作業が可能になったそうです。
〇ピーマンの有機栽培をされている横澤さんにお話を伺いました。
横澤さんは元々は水稲農家として生業を立てていましたが、無農薬や減農薬の野菜を作って販売したいという思いから、無農薬でのピーマンづくりに取り組んでいます。
奥を覗くと地元の主婦の方を中心にピーマン1つ1つ手作業で分類されており、子育て中のお母さん達が子育てで空いた時間を活用して働ける農業の現場をリアルに見ることができました。
そして、一番手前には、傷がついているなどの理由から売りに出せないピーマンが・・・
「食べていいよ」とのことで、生のままいただきました。苦味がなく、そのまま食べても美味しいというのがこの無農薬で作ったピーマンの特徴とのこと、ぜひ機会があったら食べてみてほしい逸品です。
学生たちはこの売りに出せないピーマンをインターネットなどを通じて販売できるようにできないかと話し合っていました。
〇昼食後、道の駅にて佐々木町長から岡ゼミのみなさんにご挨拶をさせていただきました。
その後、石神の丘美術館の視察を行いました。
視察にあたっては地域おこし協力隊の田中さんにガイドをしていただきました。アートの町である岩手町を象徴する存在の石上の丘美術館には長さ1kmを超える遊歩道があり、その周囲には一年中楽しむことのできる様々な植物が植栽されています。これをコーディネートしているのが田中さんです。田中さんからそれらの特徴などを丁寧にご説明いただきました。
〇続いて、ブルーベリーやりんごを栽培している髙村さんにお話を伺いました。
「ブルーベリーはこれまでは販売せず、知人や近所に配るだけでしたが、農薬などを使用せず自然のまま育てているので不揃いながら良い味が出ている。ぜひ皆様にたべていただきたい」といったお話がありました。無農薬で作るのは本当に大変ですが、それらは安心安全で美味しい果物になります。高村さんからも持続可能な農業が目指す一つの形を学ぶことができました。
実際に摘み取っていただきました!
〇その後、ねばり芋を栽培している伊藤さんにお話を伺いました。
ねばり芋は長いもと違って密度が高くつまっていることが特徴だそうです。実際に持ってみると重たい印象がありました。
実際に切ってくださり少し味付けをして提供してくださいました!
学生からは押したいポイントなどの質問がありました。
〇夕方には、勉強会を行いました。
岩手町の商品の良さを広めることや自らの今後の学びを目的とし、発表してくださいました。
SDGsの商品の課題では「一般商品に比べて高い」「SDGs商品の背景がうまく伝わっていない」「消費者にSDGs商品を買うことの自身への直接的なメリットが伝わっていない」などが挙げられました。
そこで、このような課題を解決するためにSDGs商品の背景や生産者の思いに「共感」してもらうことで付加価値を見いだすことや、いつでもどこでも手に入るものよりも、入手しにくいものこそ価値が高い、と考えてしまう「希少性の法則」を使用するのはどうか?といった提案をしていただきました。
3日目
〇3日目は、くずまき高原牧場を視察しました。
くずまき高原牧場は岩手県麻里葛巻町にあり、葛巻町はSDGsの取り組みにも熱心で「東北一の酪農郷」として発展しています。
場内にはレストランや展望台など様々な施設がありました!
SDGsの視点から見ても持続可能な農業の在り方を実践されている農家さんの生の声、生産にかける思いを聞き、岡ゼミの学生の皆さんはどのような価値を感じてくれたでしょうか? そして、その生産者の皆さんの思いと農作物が持つ価値は消費者にきちんと届いているでしょうか? 届けるにはどうしたらいいのでしょうか? そんなことを岩手町のSDGs未来都市プロジェクトでは岡ゼミの皆さんと一緒に考え、実践していけたらと思います。
岡ゼミのみなさま、ご来町ありがとうございました!
「岩手町 × 丸の内 SDGs Tour」に向けてもよろしくお願いいたします。
また、ご協力いただいた岩手町のみなさま、貴重なお時間をありがとうございました。
■ハッピーヒルファーム■https://www.happyhillfarm.co.jp/
■田んぼアート■http://town.iwate.iwate.jp/town/kairan/2021tanboart-ikkatai/
■桜山荘■ https://auroraj5.com/ouzansou
■アンドファーム■http://ikiiki-noujou.com/
■横澤さん■https://www.instagram.com/yokosawa_nouen/
■髙村さん■https://poke-m.com/producers/376152
■くずまき高原牧場■https://kuzumaki.jp/
■明治大学農学部共生社会論研究室
Twitter: @okazemi_14