SDGs未来都市共創プロジェクト
岩手町みらい創造課
岩手町が目指すSDGsの将来像
岩手町の人口ビジョンでは現在の約1万2000人の人口が2040年に約7600人と半減近くなるとの見通しです。そこで打ち出された「潤いのある町(※)づくり」を進めています。町外の企業や人の力も借り、地域内経済の循環を生み出しながら「持続可能な町」を目指します。町はこのための理念(トリプルボトムライン)(※)を揭げ、「SDGs未来都市共創プロジェクト」(※)を立ち上げました。内容を3点に整理します。
1つ目は「SDGsによる都市間連携」。自治体同士がつながり、賛同企業、関係者を巻き込む狙いです。芽が出ているのは、東京都豊島区、埼玉県さいたま市、宮城県石巻市との連携。海外ではフランスと交渉を始めています。町内人口を増やし、産業を活性化させるには岩手町単独では限界があるため、同じ課題を抱える国内外の自治体と連携し、一緒に取り組むことで課題に対処します。
2つ目はその手法の「リビングラボ」。町の課題解決へ共感する内外の自治体、企業や大学など産学官民の力を借りて実証実験を行います。テーマは農業、森林、健康・スポーツ。
農業の担い手確保プロジェクトは、都市部の農業に関心のある人を招き、農業を通じた関係構築の実証を行っています。新規就農者の確保をめざし、町内農家と新規就農者の人的ネットワーク構築などを支援します。
森林は「皆伐」ではなく、木を間引く「間伐」を繰り返して森林の生物多様性を維持しながら森林保全する新しい森林経営検討のプロジェクト。移住者も林業に携われます。
健康・スポーツは「子ども食堂」を活用し、子どもと大人の「多世代型交流食堂」を展開。そこから、地域の大人が子どもの居場所づくりに取り組むほか、サッカー教室など交流を多面的に広げます。また、高齢者が行う太鼓打ちの動作をゲームに取り込み競う「eスポーツ」による健康づくりに取り組んでいます。
持続可能の「肝」は“人材育成”
3つ目は「SDGsの人材育成」。 外から関係者を呼び込んでも、町民が育たないと“打ち上げ花火”になりかねず、人材育成のため地域と学校をつなぐことに力を入れています。
たとえば、トークフォークダンス。子供と大人が2重の円の形で着席し、1分ずつ対話をして1人ずつ相手が代わります。大人へ「子どものころの悩み」などのお題を提示。大人と子どもの交流が生まれ、地域全体で子どもを応援するキッカケづくりになります。
沼宮内高校が町の課題を解決
一方、沼宮内高校とは町が連携協定を結び、「高校生版リビングラボ」を展開しています。町の課題を生徒に示し、高校2年生が課題解決へ向け6つのプロジェクトに数日間の職業体験をはさみ参加。
地域産品の販売促進▷移動式屋台の活用▷高齢者向けスマートフォン教室など、22年10月開催の岩手町の産業まつりと合同で開催された「沼宮内高校文化祭」で成果を発表しました。
トークフォークダンス
高齢者向けスマートフォン教室
※潤いのある町
人口が減っても地域の賑わいや経済活性化が持続される町。そのために人や経済の流れを生み出す必要があります。
※トリプルボトムライン
「町の未来のために何ができるか」を、町民自らが考える意思の持ち方「シビックプライド①」を基礎に、「商材等ブランディング②」と国内外の都市との交流やリビングラボを軸とした「SDGs未来都市構想の推進③」で構成します。
※SDGs未来都市共創プロジェクト
岩手町が2020年7月に内閣府から「SDGs未来都市」に選定された際の計画書を具体化した事業。現状の地域課題を明確にし、2030年のありたい姿へ向けた取り組みが行われています。