日本でもSDGsに取り組む人は増えつつあるものの、点でバラバラ、どこへ向かうのか、どんな取り組みがあるのか、なかなか見えてこない現状があります。
これらの取り組みをつなげ、大きなうねりとしていくには、どういったものが必要でしょうか?
そこで今回の記事では、人びとをつなげ、プロジェクトを加速させるための、オランダのオンラインプラットフォームの事例をご紹介します。
プラットフォームの名前は『SDG Netherlands』。オランダでSDGsに取り組むさまざまな活動やニュースを紹介したり、メディアと連携して活動する人を紹介しています。また、サイトには関連レポートやコミュニケーション用ツール、団体用キャンペーン素材など、誰でも気軽に参加できるヒントもたくさん詰まっています。
このプラットフォームには、若者グループ、地方自治体、金融機関、教育および研究機関、住民グループ、1,000以上の組織が参加しているとのこと。
毎年改良・補足されている、SDGsに取り組むためのロードマップも作成されています。各ゴールに設置された担当のコーディネーターが、このロードマップをもとにプロジェクトと人をマッチングしながら進めています。
これらウェブサイトをベースにしたコミュニケーションの他にも、日本での取り組みのヒントとなるような、面白い取り組みが始まっています。ここでは、そのいくつかをご紹介していきます!
地域をまわってSDGsを発見!SDGsスタディツアー
地域の人たち向けに定期的に開催されている”SDGsツアー“では、SDGsのことを理解するきっかけを与えてくれます。
参加者は、SDGsのロゴで彩られた”SDGバス”に乗って、認定を受けた”ゴールゲッター”と呼ばれる人たちの活動を見に行ったり、話を聞きにいくというもの。
これは、年間200万人以上のユニークユーザーをもつ『ONE WORLD』というメディアグループと協働して企画されたもので、メディアではゴールゲッターのインタビューを読むこともできます。
ツアーでは、ある市長のもとを訪れて「なぜSDGsに取り組むか」話を聞いたり、ある起業家を訪れて二酸化炭素に配慮したレシピを使って食と気候変動の関係について教えてもらったり、サステナビリティミーティングへの参加などもできるそう。
楽しく観光する気分で、五感を使いながらSDGsを学べるツアーは、参加者にとっても嬉しい取り組み。ゴールゲッターの人たちのシビックプライド(地域への誇り)も育くまれそうです。
2019年10月にG20の大臣が集まって開かれた観光大臣会合でも、観光のSDGs貢献推進が宣言されました。観光とSDGsを結びつけていく取り組みは、ますます必要となってくるなか、これはすぐに真似できそうなところです。
SDGsに取り組む人たちが集まる『SDG House』
出典:ONE WORLD
アムステルダムには、SDGsに取り組みたい専門家や起業家、NGOの人たちが集う『SDG House』と呼ばれる家があります。現在50人が住んでおり、活発な交流からたくさんのプロジェクトが生まれているとのこと。
Houseの中には、企業のサステナブルな取り組みに対し認証マークを発行する国際NGO『B Corpora-tion(ビー・コーポレーション)』の欧州本部や、ブロックチェーン技術を応用したフェアトレードシステムを研究する『Fairfood(フェア・フード)』などもオフィスをかまえています。
今では複数の拠点ができ、これらの家をつなげた”SDGハウスネットワーク”もできたそう。ますます取り組みが加速していきそうですね!
年に一度みんなが集まるSDGsアクションデー
もうひとつは、毎年SDGsが採択された 9/25に開催されている”アクションデーイベント“。
今年2020年はアジェンダのタイトルにもある「変革」の10年をテーマに、オンラインで開催されました。
アムステルダム市、学校、コンサルティング会社やメディア、国連グローバルコンパクトなどと協力し、SDGs×政治、貧困×持続可能な食料システムなどのトークセッション、21世紀のリーダーのプロフィールをつくるワークショップ、SDGsの指標づくりとさまざまなイベントが企画されました。
さらにSDGハウスの500人に向けて、みなさんのSDGsアイデアをプレゼンするムーンショットピッチ大会も開催!優秀なアイデアは表彰され、賞金500ユーロがプレゼントされました。
2015年に国連で採択された、この世界を”持続可能”にしていくための、わたしたち全人類が取り組む目標「SDGs(Sustainable Development Goals)」。
誰ひとり取り残されない、どんな人も包摂した社会を実現するためには、さまざまな立場の意見から学び、協力する必要があります。
そして、新しい取り組みや仕組みをつくるうえで、それを使う・使える人たちを増やすためにも、また強靭なシステムにするためにも、より多くの人の視点を持ち寄ってつくり上げることが何より重要です。
日本にも内閣府の未来都市プラットフォーム、外務省、環境省にもプラットフォームがありますが、これらをどう活かしていけばいいでしょう?
SDGsのなかでも、目標の17番は「パートナーシップ で目標を達成する」。このパートナーシップ をいかに実現するか、そのためにコミュニケーションをどうデザインするかが、地域で取り組む際の”鍵”となるのかもしれません。