リビングラボ活動レポート

エネルギーラボ(第3回後編)[いわて町ラボ2020開催報告]

前編はこちら

前回に引き続き質問と回答の紹介と、イベントを通していただいたご感想、そして最後に遠藤亮氏によるグラフィック・レコーディングを掲載いたします。

【取り組み・仕組みについて】

Q:お金をかけずにやる取り組み、学生を活用する以外にはどんなことがあるか?
A:お金を使わないのも大事だが、お金がちゃんと返ってくる仕組みを作ることが大切。自治体が補助金を出す場合、補助金がどれくらい地域に残って、どれくらいの税収に繋がるのか、そして最終的に補助金の何%を自治体が回収できるか、というようなところから考えていくことが大事。まずは自治体の地方税で、融通が利いて、かつ必ず返ってくるような取り組みを考えていただければいいのではという風に思います。
効果が高いのは、数百万円かかってしまうが、「屋根台帳」です。どういった建物が、太陽光に適しているか、どういった建物から優先的に省エネ改修をした方がいいかを見える化することは、地域として見た時に、非常に効果の高い政策だと思います。

Q:住民がみんなで取り組む一体感はどうやって生まれるのか?
A:最初は「儲かる」というのを見せる必要があるでしょう。ドイツの場合、シュタットベルケは100年続く企業なので、エネルギーで稼いだお金で地域のバスを運行したり、地域のスポーツクラブに寄付するなど、「みなさんが支払ったお金でこのバスが動いています」「みなさんが支払ったお金でこのサッカーチームのユニフォームが買えています」など、目に見えてわかるようになっている。「価値が循環する」というのをいかに目に見えてわかる形に見せるかというところが1つだと思います。

Q:循環する仕組み、参加組織を市民の方は知っているのでしょうか。誰もがその決議に参加しているのでしょうか。
A:知っている人も多いです。決議の投票権を全員が持っていることはなく、議会での議決が多いと思いますが、選挙も含めた政治参加は活発だと思います。

Q:まず話し合う仕組みを作るというところで、今日ご紹介いただいた自治体では、まずどんなメンバーでどういう方法で情報共有から、話し合いまで持っていかれたのでしょうか?
A:まず首長が音頭を取ることが多いと思います。

Q:会議自体が教育や影響を広めると思います。会議などの成果の積み重ねを誰もが見れるのでしょうか。
A:日本でもドイツでも議会の議事録などはある程度公開されています。違いはそうしたものを私達の分かる言葉に翻訳してくれるNGOなどがいるかです。そうしたNGOの存在はドイツは厚いと思います。

 

【その他】

Q:岩手町はどう考えているのか?
A:ドイツも先進的な自治体と、あまり取り組んでいない自治体がある。だがどちらも20年後くらいまでには省エネ・再エネへの投資は割に合う。ただ問題はやはり、20年かけて行う取り組みはなかなか提案しづらいことにある。ドイツの多くの自治体の選挙は4〜6年ごと、つまり4〜6年ごとにわかりやすい成果を出さなければならない。役場の方がジョブローテーションをせずに、10年20年かけて専門家になっていくのが重要だと思います。ドイツでは、優れた自治体は「気候担当職員」というのがいて、その方の地元の知名度などが非常に高い。つまり、「彼が言うことは正しいだろうな」と皆が思うような立場の方が10〜20年かけてちゃんと取り組む。そしてその方のことを役場がしっかり応援する。なので長期的にやれば必ず割には合うと思います。

Q:西村さんがベルリンに住む理由は?
A:大学がベルリンだったというのが1つ。私の普段のお客さんが国が多いので首都の方が便利。正直に言うと、中世ドイツのイメージがあるメルヘンチックな田舎町に引っ越したい、というのはある。

 

【頂戴した感想】

・冬の暖房費が死ぬほどかかる。このエネルギーを節約し、地域内でまかなえればとてもスゴイことに なる。
・地域が豊かにならなければ、真に個人は豊かになれないということを知らされた。地域の豊かさは役場が作るものではなく皆が作ることだ。
・バックキャスティングによる町づくりが進められればいいな。
・シュタットベルケ、実に良い仕組みだと思う。でも、つくるのはむずかしそう・・・ ・とても参考になったし、この町でも実際にできれば最高ですね。
・市町村単位の他に、隣接市町村との共同もありですね。郡単位とか。
・断熱やLEDへの転換など、身近でできることから始めてみようと思いました。
・自立型←省エネ←自分ごと←地元愛
・2040年の岩手町のイメージがはっきりとは思い当たらず、様々な知識不足でもう少し知識を身に付けないと前に進めないと思った。
・今回のお話は知識もなかっただけに、貴重な機会でした。正直な感想として、ドイツでの取組やそのモデルは理想的なことですが、岩手町でもできることなのかイメージが湧きません。
・取組を進める順番について、まずは「全体で考える仕組みを作る」というお話しが印象に残りました。 仲間づくりが大切なのだと感じました。岩手町さんはエネルギーラボを通して、仲間づくりが進んでいると思いますので、今後の活動にも活気が出てくるのではないかと感じています。
・住民がまちづくりに関わる仕掛けが非常にうまく設計されているのだと思いました。
・脱炭素を目指す、というとどうしても再エネ設備の導入(ハード面)に目が行きがちで、なかなか手を出せないと感じていたのですが、まずは、お金をかけずに様々な活動を進めていくことが大事ということが分かりました。地域の方々をうまく、巻き込んで小さな活動を進めていけたらと感じました。
・バックキャストに至るまでの話し合いからスタートですね。何をやってはいけないかのをみんなが周知しているというのはすごいです。確実に売る、かつ省エネ行動、子供たちにも頑張っただけの、メリットで返しているところがすごくうれしいです。
・法制度等の違いもありすぐさま日本で、という訳にも行かないのでしょうが、意識の持ち方を先ず改めないといけないですね。とは言え、小さなことからコツコツと、というのであれば進めて行けそうなところがあるのではと思った次第です。
・地元にお金をおとす、循環させるエネルギー産業=熱が、人口を増やす気づきは、新鮮でした。
・今日の講演の録画を町のあらゆる立場の方に見ていただきたいですね!それぞれの立場でどういうかかわりができるか、考えて共有できたら新たな面白い取り組みにもつながりそう。
また、特に断熱に関しての先を見据えた産業育成意識が求められる、というのは印象的でした。
・住宅が断熱規制をかけるほど、エコ意識がすごいんですね。地方税が地方に戻る考え方、目からうろこです。
・専門家教育、少子化ですし、日本もお大切ですね
・何をやってはいけないかの周知が大切なのですね。
・様々に参考になるお話ありがとうございました。このようなエネルギーラボをベースに、色々なアクションが生み出されていくような環境が作れると良いですね。ぜひ、オンラインも活用しながら定期的な意見交換の場を広げていきたいと思います。
・大変勉強になりました。ありがとうございました。スタートはどこも熱意のある方が引っ張っていかれているのですね・・・
話しやすい環境づくり、オンラインも上手く活用したいと思いました
・ドイツでは、定期的な飲み会があり、そこで政治的な話もあるという事でしたが、葛巻町民も飲み会が大好きで、飲みのなかで真面目な話もしたりしてアイデアが出てきたりすることもあったようです(昔)
・ぜひ、飲み会でうまくいかないところをお聞きしたいですね。
・とても興味があります!
・本日は、とても貴重なお話をお聞きして、地方の私も元気になってきました。どうもありがとうございます。
・西村さんありがとうございました!改めてもっとドイツの話などお聞きしたいなと思った次第です。
・ありがとうございました。ドイツの政策に非常に興味が湧きました。

 

【グラフィック・レコーディング】

ご相談・お問い合わせ

ご相談・お問い合わせ

岩手町のSDGs未来都市の取り組みに関するお問い合わせは、以下よりお願いいたします。
地域間連携、町内外の事業者の方からのご相談などもお待ちしております。
※ご用件名に「きこえるいわて」と記入ください。

お問い合わせ