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そのアクション、どれくらいのインパクト? 地域の課題とアクションを見える化する「SDGs指標」徹底比較!~後編~

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マイボトルを持ったり、地産地消の食材を使ったり、役所を再エネ100%にしたり、いろいろなアクションにチャレンジしたけれど、これってSDGsの目標に"どれくらい"貢献しているの?  そう思う人も多いのではないでしょうか??

自分が取り組んでいることがどこにどう繋がっているか、なかなか見えづらくてどうにも続かない!そんな人たちにぜひ取り組んでいただきたいのが、指標をもとにアクションを見える化していくこと。

後編では、日本の指標事例と指標のつくり方についてをご紹介していきます。さまざまな指標をもとに、さらなるアクションに取り組んでいきましょう!

日本の指標事例と活用方法は?

出典/法政大学川久保研究室によるローカルSDGsプラットフォーム

 

世界にある問題がどう関係しあっているのか、地域がそこにどう関わっているのかを理解することができたら、次はその関係性をもとに地域のビジョンを描きます。北海道の下川町などでは、どんな地域にしたいのかを、地域の人たちを中心に、SDGs17ゴールをもとにしながら地域の理想像を描いています。

 

さらに理想を実現するのにどのような課題があるのかを整理して、現状の把握や優先順位づけ、行動計画へと落とし込んでいくというふうに取り組むことができます。

 

ここで活用できるのが、内閣府の「地方創生SDGsローカル指標」です。ここではグローバル指標を日本の指標に置き換えたものが掲載されています。さらにそれを受けてつくられた法政大学川久保研究室によるローカルSDGsプラットフォームサイトでは、地域のゴールごとの指標が一覧で見ることができます。これらも参考にしながら、課題をより具体的に捉え、政策に落とし込んでいくことができます。

 

これらの指標は現状把握だけでなく、投資などの金融活動への紐付けや、地域や組織内の課題の共有、モチベーション向上などにも活用でき、大きな効果を生み出すことが期待できます。

 

次の章ではグローバルプラットフォームで紹介されている「指標づくりのポイント」に触れていきます。

 

 

指標づくりで意識したい!プロセスとポイント

出典/フランダース協会

 

ここでは、SDGsをローカライズするためのグローバルプラットフォーム「Local 2030」で紹介されているフランダース協会(国連訓練調査研究所「UNITAR」に加盟)のレポートから、「指標づくりのポイント」についてをまとめました。

 

指標づくりのステップは、①SDGsと地域計画の紐付け  ②プロセスを考える  ③指標の決定 ④関連データの収集  ⑤レポート報告  ⑥ 完了したプロセスを評価する、6つのステップが紹介されています。

 

さらに取り組む際には、それぞれ「組織内」「社会」「世界」のレイヤー3側面での測定をしていくことが紹介されています。

 

① 行政内の内部行動  (例:持続可能な調達政策)

② 市民に対する外部行動  (例:健全な自治体キャンペーン)

③ グローバル行動  (例:フェアトレード自治体)

 

SDGsの大切な理念が書かれている『2030アジェンダ「Global Citizenship(地球市民)として行動していく」と記載があるとおり、SDGsでは地球市民の個人としてそれぞれのコミュニティに働きかけていくことが求められています。ですので、取り組む主体に「個人」を入れていただくのも良いかもしれません!

 

 

そして指標づくりのポイントとしては、「Specific(具体的)」「Measurable(測定可能)」「Acceptable(許容可能)」「Relevant(関連性)」だとしています。

 

① Specific(具体的):指標がそれを使用するすべての人に何を測定しようとしているのかわかるように明確にする必要がある

② Measurable(測定可能):定量化が容易で、明確な測定単位で表現されている必要がある

③ Acceptable(許容可能):関係者の間で可能な限りで抵抗をつくらないようにする必要がある

④ Relevant(関連性):指標と監視する必要のあるトピックの目標との間に明確なリンクが必要

⑤ Timeliness/Frequency(適時性/頻度):指標は頻繁かつタイムリーに収集できなければならず、時間の経過とともに発展を示す必要がある

 

ここでのポイントはやはりアジェンダにある「誰ひとり取り残されない」の理念のもと、誰でもわかりやすい・関わりやすいことがポイントとなってきそうです。

 

では、具体的にどのような指標を設定すればいいのか? 指標の種類については下記のようにまとめられています。

 

① Context indicators(状況指標):貧困の数値、自治体の雇用率、人口などの情報

② Input indicators(資源指標):財源、従業員の数など、人とリソースに関する情報

③ Process indicators(経過指標):環境許容値、行動への市民の関与など、組織またはのアプローチに関する情報

④ Impact indicators(影響指標):複数年計画の階層に沿った戦略的目標とその影響

 

大きく分けてこの4つの指標に基づいてデータを収集していくと、取り組みもうまく整理できそうです。

 

 

真似したいSDGsサイトデザイン事例

出典/L.A.オープンソースプラットフォーム

 

指標ができたら、地域の人たちや全国、世界に向けてコミュニケーションしていきます。これをどのように取り組むかについては、国連ヨーロッパ経済委員会(UNECE)L.A.オープンソースプラットフォームページの二つが参考になります。

 

感覚的にパッと見てわかりやすいデザイン、グローバルや他地域との比較がしやすいデザインという点も、インナーコミュニケーション(内部の意識共有)やグローバルパートナーシップをつくるために重要になってくるのでは。

 

さらに、SDGsの「誰ひとり取り残されない」視点から、障害者や高齢者、こどもや外国人の人々も読めるようにするというのが理想的。もしかしたら、HPデザインさえも「マルチセクターパートナーシップ(多様な属性の人との協働)」でできると良いかもしれません。

出典/国連ヨーロッパ経済委員会(UNECE)

出典/L.A.オープンソースプラットフォーム

 

 

他にも参考にしたい  関連指標

出典/荒川区サイト

 

ここまでご紹介してきた指標以外にも、参考にしたい指標がいくつかあります。「健康経営」「ウェルビーイング(健康や幸福)」の言葉にもあるように、個人の健康や幸福を組織や社会がどう実現していくのかが問われるようになってきました。

 

企業で「従業員幸福度」の測定が取り組まれたり、最近ニュージーランドも「幸福予算」を採用して話題となりましたが、「幸福度」に注目する地域も続々出てきています。そこで注目したいのは、東京都の荒川区が採用している荒川区民総幸福度(GAH)です。

 

荒川区では、基本構想に定める6つの都市像に対応した「健康・福祉」「子育て・教育」「産業」「環境」「文化」「安全・安心」6つの分野ごとの区民の幸福実感をアンケートをもとに測っているそうです。

 

ここで素晴らしいのは、さまざまな人種に配慮して、日本語、英語、簡体中国語、ハングルで調査票を作成し実施しているところ。地域にいるあらゆる人たちに配慮した取り組み、これぞまさにSDGsです。

 

 

指標を取り入れてより円滑なコミュニケーションと実行促進を

出典/国連広報センターHP

 

総理大臣を本部長、官房長官や外務大臣を副本部長に、全閣僚を構成員として設置されたSDGs推進本部は、実施指針のなかで取り組みを進めるにあたり、行動の主要原則として以下のように紹介しています。

 

【統合性】 経済・社会・ 環境の三分野の全てにおける関連課題との相互関連性・相乗効果を重視

【包摂性】 人権の尊重と、ジェンダー平 等の実現及びジェンダーの視点の主流化は、分野横断的な価値としてSDGsのすべてのゴールの実現に不可欠なもの

【参画型】 あらゆるステークホルダーや当事者の参画を重視し、全員参加型で取り組む

【普遍性】 国内における取組も国際目標達成に向けた努力としての側面があることや、逆に国際協力にも我が国自身の繁栄の基盤を支える意義があることを意識

【透明性と説明責任】 高い透明性と定期的な評価が必要

 

ここにある通り、SDGsにきちんと取り組むには、誰ひとり取り残さないよう、多様な人が関われるよう「参画型」にした上で多角的な視点を入れ、「透明性と説明責任」を果たしながら、地域やコミュニティで一丸となって取り組んでいく必要があります。

 

行動を促進していくためにも、是非ステークホルダー(関係者)を巻き込みながら、みなさんで一緒にローカル指標に取り組んでいってくださいね!

参考ソース/文献

Local 2030

ローカルSDGsプラットフォーム

LA SDGs Platform

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