そのアクション、どれくらいのインパクト? 地域の課題とアクションを見える化する「SDGs指標」徹底比較!~前編~

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マイボトルを持ったり、地産地消の食材を使ったり、役所を再エネ100%にしたり、いろいろなアクションにチャレンジしたけれど、これってSDGsの目標に"どれくらい"貢献しているの?  そう思う人も多いのではないでしょうか??

自分が取り組んでいることがどこにどう繋がっているのか、なかなか見えづらくて、どうにも続かない!そんな人たちにぜひ取り組んでいただきたいのが、指標をもとにアクションを見える化していくこと。

そこで今回の記事では、現状やアクションを見える化する指標の国内外事例やそのつくり方についてをご紹介していきます。さまざまな指標をもとに、さらなるアクションに取り組んでいきましょう!

CO2排出量や地域の経済循環率の見える化も

あなたの二酸化炭素排出量はどれくらい?国連の計測サイト 出典/Climate Pledge global

 

わたしたち一人ひとりの行動の影響が見えるものから、地域の大きな取り組みを測るものまで、実にさまざまな指標が世界中で生まれています。

 

たとえば、最近ニュースでもよく取り上げられるようになってきた「二酸化炭素」。これがわたしたちの行動からどれくらい出ているかを計算してくれるといったサイトや指標も、世界でいろいろなものが出てきています。

 

つい最近日本政府は、ゴール13にある気候危機に取り組むための世界の約束「パリ協定」の実施に向けて、二酸化炭素の排出量を「2013年度比で46%削減する」という目標を掲げたばかり。

 

とはいえ、普段から二酸化炭素を意識して行動するのはなかなか難しいのが現実。そこに対して、わたしたちは個人で、地域で、どれくらい何を取り組めばいいのでしょう?

 

ここでひとつ指標が行動の指針となります。たとえば「地域人口 × 二酸化炭素の総排出量」「企業 × 総排出量」「行政 × 総排出量」の指標をつくったとして、あとはどこから出ているのかを明確にし目標を設定して、具体的に取り組んでいくことができるわけです。

 

日本は2050年までに実質排出量ゼロを目指す「カーボンニュートラル宣言」をしているので、先程の指標などをもとに、排出量をゼロに向かわせていくことが求められています。特に日本は世界でも6番目に多く二酸化炭素を排出しているので、過去排出してきた分も含め頑張らなければいけません。

出典/UNEP  Emissons Gap Report 2020

 

世界各地で気候危機を解決するために残されている時間は「あと6年」と示す時計「Climate Clock」がかかっていたり、日本でも「気候非常事態宣言」を国会決議していたり、ここ数年の野心的目標が鍵になると伝える国連レポート( UNEP  Emissons Gap Report 2019)などもあったりと、

 

問題の緊急性が高いなかで優先順位や取り組みを間違うと、もしかしたらわたしたちが望んでいない世界を実現してしまうかもしれません。だからこそ適切なステークホルダー(関係者)を入れながら、きちんと現状を把握し、優先順位をつけて取り組んでいく必要があります。

 

このような取り組みの優先順位を決めるにあたり、「地球全体の調和を実現するには、地域はどうあればいいか?」逆に言えば「地域がどうあれば地球全体が調和するのか?」という視点が必要となります。

 

SDGsでは、全体の大きな課題を細分化して原因を分析し、その要素のなかにどのように地域が関わっているのか、身近なところに紐付けて理解し、具体的な取り組みへと落とし込んでいくことが求められているのです。

 

 

日本は世界でどれくらい進んでる?  SDGs進捗度ランキング

出典/SDGs Index

 

では日本には、どんな課題があるのでしょう?  SDGsをどれくらい達成できているのでしょうか?

 

それを見るには、ドイツのベルテルスマン財団と持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)が2016年から毎年作成している『SDGs Index』を活用することができます。ここでは、世界のランキングと各国のゴールごとの進捗を見ることができます。

 

2020年のレポートによると日本の成績は、目標4「質の高い教育」や目標9「産業と技術革新」、目標16「平和と公正」において、全ターゲットで達成、最高評価(グリーン)となっています。

 

一方、目標5「ジェンダー平等」、目標13「気候危機」、目標14「海洋生態系」、目標15「陸上生態系」、目標17「パートナーシップ」で最低評価(レッド)を受け、取り組むべき優先課題となっています。

 

さらにこの指標から日本における優先課題、例えば世界でも大きな課題として捉えられている「気候危機」や「ジェンダー問題」とどう地域が関わっているのかを見ていく必要があります。

 

もしかしたら、地域の再エネ比率が上がらないことが、地域や日本全体の化石燃料依存をつくり、気候危機を悪化させているかもしれません。地域の政治教育の不足が、地域の、日本全体の女性議員比率の少なさをつくっているのかもしれません。

 

そんな具合に、問題の背景や原因を分析し、地域課題と重ね合わせながら取り組んでいくことができます。

 

個人が集まって社会が形成されるように、世界の問題も個人や地域、国の集まりによってできています。まさしく「森を見て木を見る」。問題は複合的に絡み合っているので、全体から見た地域、地域から見た全体も捉えながら、統合的に理解して取り組んでいく必要があります。

 

 

注意!こちらが立てばあちらが立たず「トレードオフ」

出典/公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)

 

さらに取り組むにあたって注意したいのは、「トレードオフ」という考え方。これはもともとは経済用語ですが、SDGsを取り組む上でも重要な考え方です。

例えば「貧困問題を解決するためにこども食堂をつくったら、こどものいじめ問題が深刻になった」というように、ゴール2「飢餓をゼロに」は達成にできたとしても、ゴール10「人と国の不平等をなくそう」は後退してしまうなど、かたや犠牲を生んでしまう関係のことを指します。

ゴール同士の影響は、地球環境戦略研究機関(IGES)でも研究されてレポートになっていたり、金沢工業大学のトレードオフを学ぶことができるSDGsカードゲーム「X」なども出ているので、取り組みを始める前に理解を深めることができます。

それぞれのゴールに存在する問題が、どういう相関になっているのか、どう影響しあっているのか、この「トレードオフ」を頭の片隅に入れながら取り組むのが理想的です。

後編はこちら

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