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今も息づく、土地に刻まれたリズムと祈り――岩手町の郷土芸能

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地域・人・想いをつなぎ、未来へつなぐ。

自然との調和のなかで生きる日本では、四季の移ろいのなかから神や精霊の概念が生まれ、たくさんの郷土芸能や祭りが育まれてきました。なかでも岩手県は郷土芸能の宝庫といわれ、岩手町にも代々伝わる数々の踊りや謡があります。

風土を物語る郷土芸能は、生活や習俗、信仰とも結びつきが深く、地元にとっては大切な土地の文化であり、地域外の人にとってはその土地の奥行きを楽しみながら知ることのできるものでしょう。岩手町指定の無形民俗文化財として認定された15の郷土芸能を足がかりに、岩手町の郷土芸能についてご紹介します。

古くは江戸から続く、15の岩手町指定無形民俗文化財

2023年2月現在、岩手町には15の郷土芸能が町の無形民俗文化財に指定されています。神楽、田植え踊り、風流、そして近年創作されたものという大きく4つのジャンルに分けてご紹介します。

川口神楽

■神楽

神楽とは、神事で行われる神様に奉納される歌舞のこと。鳥兜をつけ神楽鈴を鳴らしながら舞ったり唄ったりしながら、招魂・鎮魂を行います。

黒内田植え踊り

■田植え踊り

五穀豊穣、無病息災の願いや、作業謡から派生した歌舞のことで、現在は小正月の祝いの場などで演舞されてきました。

農作業の一年を表現する踊りのなかに「中踊り」と呼ばれる一幕があり、漫才のようなシーンも。まだ娯楽の少ない時代に、冬など農作業の休止期間の楽しみとしても踊られました。

■風流

きつね踊りや七ツ踊りは、神楽から派生した芸能です。きつね踊りでは、きつねが油揚げを食べて喜ぶ様子を表現し五穀豊穣・無病息災・家内安全を祈り、七ツ踊りも五穀豊穣・無病息災・家内安全といった暮らしの同様の願いを込めて踊ります。なお、「七ツ」とは、戦いや生活に必要な道具の数を指します。

  • 川口きつね踊り

  • 沼宮内(ぬまくない)七ッ踊り

  • 一方井(いっかたい)七ツ踊

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沼宮内駒踊りの「駒」とは馬を意味し、馬産地だった沼宮内地域に伝わる芸能です。「ドッコイ(掛け声)」の愛称で知られる秋浦大名行列は、川口城の城主が入城する時の大名行列を伝承しているもので、城主が家臣を引き連れ練り歩く様子を表現します。

剣舞とは、戦没者を慰めるための慰霊の舞のこと。浮島念仏剣舞は鎧剣舞と呼ばれる類の剣舞で、盆の時期に街路や民家の庭先で舞われます。獅子踊りとは、悪霊退散の願いから生まれた踊り。獅子は里の生活を祝福する神の使いとされ、祭や小正月のお祝いで舞われます。

獅子踊りと鹿踊り(ししおどり)はモチーフが異なります

  • 沼宮内駒踊り

  • 秋浦大名行列

  • 浮島念仏剣舞

  • 五日市獅子踊り

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盆踊りは、鎮魂のための歌舞としてはじまり、里の人々の娯楽としても楽しまれる踊りで、明治時代頃から伝承されています。甚句とは日本の伝統的な歌謡のスタイルのことで、沼宮内には長く伝承される「沼宮内甚句踊り」があります。

「しっしどかっか」は2頭の鹿(しし)が角をぶつけ合う様子を表した踊りに合わせる太鼓の音を、「さんさ」は鬼を倒した喜びの舞の擬音を表現した言葉と言われ、「ヤンサカ」は掛け声の一つと言われています。全6種類の踊りが岩瀬張地区に伝わる岩瀬張長者の山は、現在も盆や文化祭などで踊り継がれています。

  • 北山形しっしどかっか

  • 南山形さんさ

  • 岩瀬張長者の山

  • 一方井ヤンサカ踊り

  • 沼宮内甚句踊り

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北上川清流太鼓

■創作

北上川清流太鼓は、昭和53年にまちづくりの一環で有志の6名の青年が始めた創作太鼓。北上川の優しく雄大な様子を音とリズムで表現しています。

長く息づく、願いや感謝

ほかの東北の農村がそうであるのと同様に、氏神様へ祈りや感謝の気持ちを届けたり、地元の殿様へのお祝いとして謡い舞ったり、農作業をして暮らすタフな日々を楽しく生き抜く手段として伝承されてきた伝統芸能。

 

たとえば沼宮内甚句踊りは、地域の宴会のお開きの時には必ずと言っていいほどみんなで踊るという習わしもあったり、地域で代々継がれ、少子高齢化が進むいまも伝統を絶やすまいと近年では保存会が設立されたりと大事にされています。

本番を控えた練習の様子。今も地域の楽しみとして踊り継がれています

岩手町の伝統芸能、一挙に見るなら「岩手町郷土芸能発表会」がおすすめ

岩手町では、秋口に「川口秋まつり(川口豊城稲荷神社例大祭)」や「岩手町秋まつり(沼宮内稲荷神社例大祭)」といった大きな祭りが開催されます。

川口秋まつりでは、秋浦大名行列が神輿を先導し、神楽、きつね踊りなどの郷土芸能、山車が通りを練り歩いたり屋台が並んだり。岩手町秋まつりでは山車や郷土芸能の絢爛豪華な合同パレードが開催されたりと、この期間は町中が沸きあがります。

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近年、新型コロナ感染症の影響が開催に出ていますが、2022年からは徐々に祭りも復活しつつあります。屋台で美味しい岩手町グルメも楽しめる、紅葉も美しい時季の秋まつり、ぜひ岩手町の風土を感じにお越しください。

上記のお祭りで演じられる岩手町の伝統芸能は、実は一部。
毎年11月には、岩手町の伝統芸能を一挙に見ることのできる「岩手町郷土芸能発表会」があります。いわて沼宮内駅から会場まで無料のシャトルバスも運行するので、気軽にご参加いただけます。この土地で長年大切にされてきた謡や舞などの伝統芸能、ぜひじっくりお楽しみくださいね。

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