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未来の農の担い手との関係を紡ぐために

岩手町を歩いていると、自然の山脈と農業地帯が織りなすランドスケープに目がとまります。町の豊かな自然資源や気候に恵まれる岩手町には、県内でも随一を誇る農業文化があります。

超高齢社会による後継者問題や新規就農者の減少がささやかれるなか、岩手町では農業の間口を広げる取り組みを通して、より多様な農業への関わり方を提示する「農業人材育成プロジェクト」がスタートしています。2030年に向けた岩手町の農業の未来をすこし覗いてみましょう。

岩手町の農業の現状

岩手町の隆盛を語るうえで欠かせないのが、キャベツをはじめとした農業分野です。県内随一の食料生産高を誇る岩手町は、冷涼な気候を活かした高原野菜の大規模営農を中心に発展し、岩手町の市町村別農業産出額は134億円を記録(令和2年、農林水産省)しています。

しかし、町の総面積の75%を占める山林や原野、東北一の大河である北上川をはじめとした水資源、肥沃な土壌などの豊かな自然資源に恵まれた岩手町でも、人口減少と少子高齢化を背景とした農業人口・就農者の減少は、真剣に向き合わなければいけない課題です。

そうした岩手町の農業を未来へ引き継ぐために行われているのが、新規就農者募集・育成や農的関係人口拡大を目的に掲げた「農業人材育成プロジェクト」です。岩手町の農業に携わることに興味・関心を持つ地域内外の多様な人材と、農家との交流・関係づくりを通じて、町の農業の多様な担い手を発掘・育成するという取り組みです。

農業関係人口・交流人口増加にむけて

岩手町は、そうした交流・関係づくりにつながる農業への接点として、オンライン説明会や現場体験ツアーを実施しています。オンライン説明会では、岩手町での暮らし方の紹介から、岩手町の農産業の概要、そして農業支援策や移住支援策に関する情報提供まで、岩手町での農業生活を町外に発信しています。

さらに現場体験ツアーでは、岩手町の農家や圃場を直接訪問する1泊2日のプログラムを開催。実際に農業施設を訪れ農家の方と交流することで、岩手町の農業の風土を肌で感じることができる貴重な機会です。農家での滞在型の収穫体験も積極的に実施していて、未来の農の担い手が岩手町での農業生活を短期的に体験するきっかけにもなっています。

「岩手町の農業関係人口拡大」というお題の議論において欠かせないのが、Aチーム(アクション・チーム)の取り組みです。Aチームは、岩手町の「地域課題」を発掘し、その解決のための活動を通じて岩手町の関係人口・交流人口拡大を目指すチーム。

その具体的な地域課題のひとつは、農業を担う人口や農業関係人口の減少。Aチームは、課題解決に取り組むメンバーを町内外から募集することでチームをつくり、チームメンバーは活動への参加を通じて、関係人口・交流人口の拡大を図っています。

町内外の人々がAチームの一員として活動することで、町外の人は岩手町に愛着をもち、町民も岩手町の魅力を再発見し、シビックプライドを醸成する機会につながります。こうした活動は、メディアを通じて岩手町の魅力として広く町内外に伝え、実際に岩手町に足を運ぶリアルなコミュニティづくりと、オンライン上でのネットワークづくりの両輪で進めていくとのことです。 

新たな農の担い手にむけて

岩手町の日常風景でもある農作業

岩手町の農業への関係人口を育むことは、どのような2030年の未来につながるでしょうか。人口減少、少子高齢化、農の担い手不足——そうした未来予測もありながら、岩手町の農業風土と自然資産を活かす形で、新しい農業のモデルをつくることはできるのでしょうか。

いま、既述のようなオンライン説明会や現場体験会、Aチームでの活動が行われており、今後も岩手町の農業への関わり方は多様化していきます。岩手町での農業を短期的に体験する小さなスケールから、岩手町の大きな農業法人に就職することや岩手町で農業を自営するなどの大きなスケールまで、そして岩手町での農業への関わりしろは広くひらかれています。

今後も、短中期研修を岩手町の農家や田畑で開催していくことや、新規就農・人材育成等に関する支援 、農業塾を通じた基本技術や知識の習得・伝承、農地集約による大規模化、スマート化による生産性向上など、農的関係人口拡大に向けた数多くのプロジェクトが始動していきます。2030年の未来に向けた岩手町の農業に、あなたも参加してみませんか?

ご相談・お問い合わせ

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