SDGsとお金の流れから考える、持続可能な地域経済の作り方~後編~

どんな取り組みやプロジェクトも、実現するには資金が必要! どのように資金を調達する?  これは、プロジェクトを進めるほとんどの人が持つ、まさに共通課題とも言えます。

SDGsにおいて、世界ではどのように資金を調達しプロジェクトや雇用を生みだしているのでしょう? 他国・他地域ではどのような事例があるのでしょうか?

今回の記事では、前編に引き続き世界のSDGsにまつわる”お金の流れ”を捉えつつ、国や地域の事例を見ながら、どのように資金を確保していくのか、そのヒントを見ていきます。

前編はこちら

地域のお金が漏れない仕組みづくりと「漏れバケツ理論」

ここで注目したいのが、イギリスのトットネスなどで行われている「経済の通信簿をつける」という取り組みです。つまり、地域でお金がどのように流れているかを「通信簿」で見える化しながら、「指標」を使って地域経済を最適化していくというものです。

 

これは「お金=水」「地域=バケツ」に例えて「漏れバケツ理論」と言われています(出典/New Economics Foundation)。ここでは「地域内乗数(Local Multiplier)」という指標を使い、地域外にお金が出ていくことを最小限にし、地域の人びとにくまなくお金が行き渡るかを測ります。

 

たとえば、地域内にお金が入ってきたときに、それが地域内でどこの売上となって、その次にそのお金がどこの売上となり、最終的にこの売上金の合計が、最初の金額の何倍になっているのかを測るもので、これが多くなればなるほど、地域の経済効果は高いと言えるということです。

 

国連事務総長も「消費行動がSDGsとどのように関連しているかを知らせていく」とデジタルファイナンスタスクフォースのレポートのなかで触れていますが、「地域内乗数」を増やすことにもつながるデジタルプラットフォームを使った取り組み事例として、SDGsポイントが貯まる地域通貨も出てきているなか、これらの取り組みも参考にしたいところです。

 

 

マルチセクターとともに指標を使って経済効果の見える化を

出典/経産省

 

世界でも「経済効果の見える化」は重要視されてきています。世界で盛り上がりを見せる「ソーシャルインパクトボンド」と呼ばれる手法のなかでは、指標とともに社会的な影響を把握し、より効果的な投資や施策へと活かしていく取り組みが行われています。

 

「ソーシャルインパクトボンド」とは、社会課題の解決と行政コストの削減を同時に目指すことから導入されているもので、民間投資家から調達した資金で事業者が社会事業を行い、事前に合意した成果が達成された場合に、行政が投資家へ成功報酬を支払うという手法のことを言います(出典/SIBJ)。

 

はじまりは2010年イギリスで「少子高齢化の進展」「財政赤字の拡大」「イノベーションの必要性」などの課題から再犯防止プログラムで実施され、日本国内でも神戸市と八王子市で実施されています。

 

 

 

さらに社会に出た影響を見ていくだけでなく、最適な資金投入 を行うために実施されているのが、環境省も力を入れている「ESG投資」です。「ESG」とは「E:Enviroment(環境)」「S:Social(社会)」「G:Governance(統治)」を組み合わせたもので、これら3つの側面に配慮した企業や事業に投資が行われています。

 

みなさんのいる岩手県でも、岩手銀行がESG金融として地域でヒト・モノ・カネを回す域内循環モデル構築事業」 を掲げており、再エネ事業の地産地消の取り組みを域内循環ビジネスとして県内に拡大させることを目指しています。

このような金融の仕組みをうまく使うことで、地域のプロジェクトの質を高めていくだけでなく、トレードオフ(こちらが立てばあちらが立たず、実現の一方で犠牲が生まれる関係)によるリスクを回避することも期待できる上、社会変革をさらに加速できることから世界中で注目されています。

出典/UNEP FI

 

 

国連環境計画ファイナンス(UNEP FI)が提示している「マルチインパクト測定」でも、全体的な影響分析を採用しており、社会的・環境的・経済的にプラスの影響を与えるような金融施策にしていくことの必要性をウェブサイトで提示しています。

 

さらにここには、2030アジェンダにも記載があるように、民間や金融セクターだけでなく、公共セクター、学会、市民社会、個人およびそのコミュニティなど、すべての利害関係者が関与できるような仕組みや、すべての関係者への影響に焦点を当てた仕組みの構築が必要だとしています。

 

ここでの多様性の実現は、多角的視点を持って仕組みを点検できるだけでなく、関係者からの認知を拡大させることも可能にします。

 

 

地域における資金調達の具体的取り組み事例

出典/GCF®(ガバメントクラウドファンディング®)

 

ここまで世界と国内両方の流れを見てきましたが、地域では具体的にどのような取り組みがあるでしょう?

 

地域では、特に地方銀行による多くの取り組みが生まれています。ESG投資に力を入れているところだけでなく、「SDGs私募債」などのSDGsの名前をつけた金融商品を出しているところも増えてきており、資金調達においてこのような金融機関の力を借りるのも一つの方法です。

 

滋賀では、同友会、滋賀銀行、関西アーバン銀行、滋賀県と一緒に「しがハブ」を運営するなど、プロジェクトを生み出すチームに金融機関が入っているケースもあったりします(2021年3月で終了)。

 

実際に地域資源を生かし財源を確保している事例では、先日町長対談記事でご紹介した鹿児島県大崎町が、”ゴミ”を資源として販売し収益を上げています。この収益で地域の信用金庫と一緒に奨学金制度を立ち上げ、進学する若者たちを支援しています。

 

さらに注目は、GCF®(ガバメントクラウドファンディング®)などの地域課題の解決策にふるさと納税を活用し、直接寄付を募るためのクラウドファンディングプラットフォームです。これは自治体が地域課題に取り組むために、プラットフォームを通してクラウドファンディングプロジェクトを立ち上げ、日本全国からお金を集められる仕組みとなっています。

 

ふるさと納税の仕組みを活用することで、寄付する側は税金控除も受けられる上に、具体的な寄付先を選ぶことができるので寄付側も嬉しい仕組みになっています。さらに一つの社会課題のテーマに対し、その課題を持つ自治体を複数募集して、一緒に寄付を募るキャンペーンを実施しているところもあります。

 

 

SDGs金融において重要なポイントまとめ

ここまで持続可能な経済をつくるためのポイントや事例を見てきましたが、取り組みをするにあたって「長期的なビジョン」「参画型ロードマップ」を持つこと、そして「指標」を使うことがとても大切だということに触れてきました。

 

また、お金のやり取りというのは、ただ物やサービスを交換するだけのものではありません。人とのつながりをつくる(=【社会】)ものの量などを管理する(=【環境】)そして雇用をつくる(=【経済】)SDGsでも調和が目指されている、この3つの側面があります。

 

この3つの側面やSDGsをもとにしつつ、2030年、2050年の長期ビジョンから「持続可能な経済」を地域自らにデザインすることが重要です。ここにはもちろん、ゴール17にもあるパートナーシップを発揮することも忘れてはなりません。

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